世にも珍奇な、英語標識 1
これはゴミ箱ではございません
It’s not in the trash.
オリンピックを意識してでしょうか、以前に比べて、英語標識も増えてきました。
電車内の電光掲示板や、
レストランのメニュー、
ホテルのエントランスやエレベーター、
Tシャツにプリントされたことばやフレーズ…
至るところで目にします。
確かに、アルファベットで書かれていて、単語ひとつひとつは、「英語」らしく見えます。
でも、つづりが間違えていたり、文法的におかしかったり、元の日本語をそのまま直訳したり、時には、全くもって意味不明なものが、少なくありません。
個人的な日記や、つぶやき、フェイスブックの投稿なら、まだしも、サインや、ポスターや、標識は、公の目に、長いこと触れることになりますし、商売の「看板」、「顔」です。
日本語を読めない、海外からの方々が、理解できなければ🤔、ましてや混乱する😳ようであれば、サインを設けることに、意味がありません。
その上、評判にもキズがつきかねません。
私だったら、
・ 単語のつづりに間違いがないか、
・ 文法的におかしくないか、
・ 自然な英語になっているか、
・ 意味が通じるか、
をチェックした上で、印刷、掲示すると思います。
また、自然な英語かどうか、自信がないときは、ネイティブ・スピーカーにチェックしてもらいます。
ところが、自助努力で、なんとか作文し、グーグル翻訳にすらかけずに、掲示している思われる、世にも珍奇で、不思議な「英語」が溢れています。
日々、目にしては、爆笑🤣してしまったり、眉間にシワを寄せてしまったりするたびに、写真を撮り、ほんとうは〇〇だよな〜、などと、頭の中で、添削している自分がいます。←職業病
そんな街中に溢れる、マユツバ・愉快・はてなな「英語」を、取り上げ、私なりに添削してみたいと思います。
今回は、これ。強烈ですね😅
とある、アパレル店の試着室にあったサイン
ここに書かれている「英語」
“It’s not in the trash.”
を日本語にすると、「それは、ゴミ(箱)の中にはない。」という感じです。
「え?何がゴミ箱に入ってないの?!」…😳😵🤔
全くもって、トンチンカンです。
そもそも、英語に訳す以前に、元の日本語のメッセージが、とてもあいまいです。
「使用済みフェイスカバー専用ゴミ箱」、と言いたかったのだと思います。ただ、文字数に限りがあるので、「ゴミ箱ではありません」としたのでしょう。
試着室を利用する、ノンジャパニーズの方々からしてみれば、見た瞬間、「何が??」「じゃあ、なんなの?!?!」とハテナマーク⁉️で、頭がいっぱいになります。
日本語は、主語がなくても、文章が成立し得ます。文法構造も、
主語 + 目的語 + 述語
であるのに対して、
英語は、主語無くして、文章は成立しません。
主語 + 述語 + 目的語 / 補語
という、文法構造を持つというルールも、日本語とは異なります。
この一つひとつの要素が欠けていると、英訳できないのです。
このサインの日本語原文に、主語を補って「(これは) ゴミ箱ではございません」とし、直訳すれば、
“This is not a trash can / garbage can.” (米語)
“This is not a rubbish bin / bin.” (英語)
となります。
中学一年の英語の教科書の、いっとう最初に出てくる、
“This is not a pencil.”
“This is not a boy.”...
あれです、あれ!
仮に、このように訳したところで、それを見た外国人は、
・ 目が点😳になるか、
・ 吹き出すか😂、
・ 苦虫を噛み潰したような顔🥴をするか、
・ “So, what is it ...?” (「で、じゃあ、なんなの??」)😵と、首を傾げるか、
の、いずれかでしょう。
必要な情報が伝わらないどころか、謎が深まりまるばかりです ( ̄◇ ̄;)
英訳する前に、まだ、考えなければいけないことがあります。
日本では、被りものを試着するときには、フェイスカバーをする、という習慣が根付いています。
ところが、欧米では、習慣化されていませんので、フェイスカバーをすること自体、異文化体験である、外国の方々も多いのです。
そのような背景・習慣の違いに思いを馳せることなく、
・ 日本では、被りモノを試着するときは、フェイスカバーをするのは、常識。
・「ゴミ箱ではない」、と書けば、行間を読んで、フェイスカバー専用だと思ってくれるだろう…
という、ユーザー不在の、独りよがりな発想をしてしまった結果、意味をなさないサインが出来上がってしまったのでしょう。
これらを踏まえた上で、仮に「使用済みフェイスカバー専用入れ」と伝えたいのであれば、
“Used Face Covers Only”
というような感じになります。
英語は、いかに少ない単語数で、簡潔に、明確に伝えるか、を重んじますので、日本語にあるような、曖昧模糊とした、空気を読んでもらうことを期待する表現は、ご法度なのです。
かく言う、自分も、考えがまとまっていないうちから、話し始めていたり、話しながら、考えていたり、不完全な文章をつぶやいていたりします。
自戒の意味も込めて、話すときも、書くときも、相手に正しく伝わるよう、心がけたいものです。